Osborne Chief Banjos
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オズボーン・チーフ・バンジョー
-フランク・ニート・バンジョー工房訪問記-


   
◆ブルーグラス・バンジョーの巨匠、ソニー・オズボーン氏がプロデュースするオズボーン・チーフ・バンジョーの製作家、フランク・ニート氏と、製作工程をご紹介します。

2008年5月、風上明媚なケンタッキー州ラッセル・スプリングスのフランク・ニート氏の工房を訪ねました。






  ●フランク&リッキー・ニート

フランク・ニート氏(写真左)は、1980年代からバンジョー・ネックの製作を始め、現在ではアメリカで最高級のネック・ビルダーとして広く知られています。

フランクの息子、リッキー(写真左)は、1990年代後期から父親の工房で製作のサポートをしています。
主に、インレイのカットや塗装を担当しています。

工房の壁には、何本もの古いギブソン社のオリジナル・テナー・ネックがかけられてあります。

数台の木工機械が並べられてありますが、工房内は整頓され、綺麗に保たれています。






  ●ネック

インレイを施された指板とヘッドに化粧板が貼り付けられたネックが最終的な成形段階に入ります。

ネックの材質はもとより、幅、太さ、体積、握り具合などプロのプレイヤーの要求するニーズに応えなければなりません。

大手メーカーのような大量生産ラインではなく、一本一本、手仕事で進められています。







  ●インレイのカット 

以前はフランク・ニート氏自身が行っていた白蝶貝をカットしてインレイを作る作業を、ここ数年、息子のリッキーが担当しています。

2枚重ねにした小さく薄い白蝶貝を万力で挟み、糸鋸で一気に切り抜く職人芸です。ほとんど切り終えた時に、細いインレイが折れてしまう時もあるそうです。切る向きを変える時、貝を動かすのではなく、糸鋸の向きを変えていました。

「意外に"Hearts & Flowers"のインレイが難しいんだ」と笑うリッキー。神経を使う細かい手仕事だが、リッキーは楽しんで切っていると語ります。





  ●ウッド・リム 

ジミー・コックス氏からカナダの寒冷地の硬いメイプル材のみを使用したウッド・リムとリゾネイター、そして、アッセンブリーされたポットの金属部分が、フランク・ニート氏の工房に送られてきます。

フランクがバンジョーの心臓部にあたるウッド・リムの一部を削り、トーンリングの人気ブランド、ブレイロック・トーンリングを装着します。

また、リゾネイターにバインディングなどを施し最終的に成形します。

ネックとリゾナイターは、オプションでマホガニー材やウォルナット材も使用されます。






  ●リゾネイター

成形されたリゾネイターやネックの木目を生かす塗装工程は、ホコリを嫌う作業なので別室で行われます。

塗装されたリゾネイターには、それぞれの木目のキャラクターが見られ、見る角度によってその模様が変化します。

大手のメーカーは、厚めの塗装を施し、バフという機械で磨き上げますが、リッキーは、自分の腕で磨き上げると微笑みます。塗装が厚つ過ぎると、材が振動しにくく、呼吸もできなくなります。

見えないところで、手を抜かない職人気質がうかがえます。





  ●セットアップ

木材と金属の多くの部品から成るバンジョーが、最終的にフランクによって組み立てられます。
ネックの装着角度、弦高、ヘッドのテンションなど微妙なセットアップがバンジョーの音質を左右する重要な最終プロセスです。

フランク・ニート製の5/8ブリッジ、ウエザーキング・ヘッド、プレスト・テイルピースが、標準装備されます。

フランク・ニートによってセットアップされたチーフ・バンジョーは、オプションでナッシュヴィルのバンジョー奏者兼セットアッパー、チャーリー・クッシュマン氏によって「トーン・チェンバー・チューニング」が施されます。





  ●フランク・ニート工房訪問 (2008年5月26日)

気さくにバンジョーが作られる工房を見せてもらい、製作の過程が良く分かりました。彼らが製作した別ブランドであるニート・バンジョー、スタンレー・トーン、そして、フランク秘蔵の1933年製ギブソン・グラナダも見せていただきました。

ケンタッキー州レキシントンに住むもう一人のバンジョーの巨匠、J.D.クロウ氏もよくこの工房を訪れ、一日中バンジョーを弾いて帰るようです。







  ●ソニー・オズボーン 

2000年に入り、左肩の手術、そして、心臓発作などによって残念ながらバンジョーを弾くことができなくなったソニー・オズボーン氏が、最も信頼するバンジョー製作家、フランク・ニート氏の協力のもと、リーズナブルな価格で最高級のバンジョーを供給しています。

輸送業者を介せず、ソニーの奥さん、ジュディーさんが毎回、ケンタッキーのフランク・ニート氏の工房へ車で出向き、数本のバンジョーをナッシュヴィルまで持ち帰ってこられます。

ナッシュヴィルに届いたチーフ・バンジョーのリゾネイター内部にソニー・オズボーン氏の直筆サインが入り、オズボーン・チーフ・バンジョーが完成します。


※左の写真は、オープリー・ミルの駐車場で稲葉和裕のリゾネイターにサインする際、マーカーから多量のインクが流れ落ち、独特なリゾネイター内部になりました。





  ●オズボーン・チーフ #39

今回の渡米で、念願のオズボーン・チーフ(オリジナル・インレイに改訂後のカーリー・メイプル材39本目にあたる)を手に入れることができました。

さらにナッシュヴィルで、チャーリー・クッシュマン氏の「魔法のセットアップ」を施されたチーフ・バンジョーは、音の伸び、深さ、音量ともに納得のいく素晴らしいバンジョーになりました。

最後に、ソニーから言葉をいただきました。

"Just play it, play it, and play it."










  ●ソニーのグラナダ

1934年製ギブソン・マスタートーン・グラナダ。
アール・スクラッグスのグラナダとシリアル・ナンバーが1番違いというプライスレスなバンジョー。
1978年に、トム・マッキンニー氏より、5,000ドルで購入されました。当時、バンジョーに大金を投じたソニーは、自分の決断が正しかったのかどうか、悩んだことを笑いながら話してくれました。

入手直後の1979年にCMHレコードからリリースされた「オズボーン・ブラザーズ−ブルーグラス・コレクション」を聴くと、ソニーが大変楽しんでバンジョーを弾いているのが伝わってきます。

面白いことに、ソニーが入手してから、最初にこのバンジョーをレコーディングに使ったのはソニーではありませんでした。ピナクル・ボーイズのラリー・マティスがプロデューサーであるソニーの提案で、このグラナダでレコーディングすることになったのです。

オリジナル5弦ネックは、安全のためポットから外され、フランク・ニート氏による完全レプリカ・ネックが装着されています。リゾネイターの塗装は、長年の演奏により、ほとんど剥がれています。フランジの金メッキも、ほとんど剥がれ落ちて、その歴史と貫禄を醸し出しています。

音色は、素晴らしいの一言。
オーバートーンがなく、しまった感じで、心地よいサステインが響きます。ハイ・ポジションでも音痩せがなく、ボリュームのあるクリアーな音が出ます。





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